移転価格は税務なのか?

ほとんどの企業では、移転価格担当者は、税務または経理に所属しています。

なぜなら、「移転価格」は移転価格税制として税法に規定されているから。

でも、多くの担当者の本音は「これって税務じゃない!」ではないでしょうか。

 

理由は、ビジネス全体を理解していないと全く判断できないし、とにかく社内、場合によってはグループ全体を巻き込んでの調整が多いからではないかと思います。

例えば、TNMMで算定した営業利益率のレンジに収まらないとき、次の点に注意して対応を考えます。

  1. 商流を変える必要はないか
  2. 海外子会社の機能を変える必要はないか
  3. 知的財産の帰属はこのままでいいのか
  4. ロイヤリティは徴収できているか
  5. インコタームズを変える必要はないか、など。。。

商流や海外子会社の機能を変えるとなると、海外子会社の合意はもちろん、当該子会社を管掌するカンパニーや事業部の合意が必要です。

そして、物流のシステム変更などを行うため、物流部門にも話を通さなければなりません。

さらに、知的財産が関係すると知財部や法務部とも協議しておく必要があります。

 

これらの中で、一番高いハードルは海外子会社のマネジメントとの合意ではないでしょうか。

現地採用のマネジメントは、業績によって自分の報酬が変動しますので、移転価格が業績を左右するのは切実な問題です。

確かに、当事者からすると、自分の関係ないところで業績が調整されるのは納得できないですよね。。。。

 

それでも、そんな関係各所に何とか理解していただいて、はじめて移転価格問題は一歩前進するのです。

 

確かに、国税調査も、税制改正も、全社的に動いてもらいます。

でも、移転価格は、下手すればグループのビジネス全体を抜本的に見直さなければならなくなるくらいのインパクトをはらんでいるので、周囲の巻き込み方が桁違いなのです。

 

なので、移転価格はビジネスそのものではないかと私は考えています。

当事者の皆さんはどのようにお考えでしょうか?